ART LIVES TORIDE ここで芸術が生まれる。

中川 陽介

《STAND! ALONE!!》2014年制 八万湯(北九州)
《ここは閉じていた》2015年 埼玉県立近代美術館 撮影:梅津元

普段仕事として行っている、記録や保存、収蔵、納品といった行為や活動から動機を得て、映像や写真を使った作品を発表しています。2020年には映像作品を納品する箱と作品証明書をテーマにした展示「EDITION BOX -video works as material-」の企画なども行っています。

2001年の大学入学を機に九州から取手に越してきました。それからずっと取手市内で暮らしています。作品はあまり場所を取らないのですが、機材や資料が大量にあるので、広めの家が安く借りられる取手が気に入っています。
一時期は機材を担いで飛行機や新幹線を頻繁に利用していたので、東京まで常磐線一本で出られたり、成田まで車で行けたりする交通の面でも満足しています。

生活はとても重要です。生活と制作が乖離しないようにいつも気を付けています。例えば仕事で地方への移動が多い時期には、電車や飛行機の中で出来る映像編集のスタイルを考えたり、逆に子育てなどで移動ができない時期には、家の中で撮影ができるよう工夫したりしています。簡単なことですが、そのようにライフステージや状況に合わせて手段や技法を作っていくことがとても大切だと思います。

これは芸術家という職業が何を持って成立するのかというプロ意識の問題でもあると思います。制作だけでなく、収蔵・売買やアーカイヴに関連した展示企画、トークイベントなどは今後増やしていけたらなと思っています。

社会と芸術の関係については、最近では社会にとって芸術が必要というよりも、芸術表現が社会や歴史を必要としている方が実感として強いですね。そのような中でもコロナ禍下では多くの芸術家が支援を受けているので、芸術の社会的価値の証明努力は、特に日本においては、コロナ後の緊急課題だと思っています。
またコロナを経て、過去に制作した作品の見え方が変わりました。例えば移動をテーマにした作品や、海外で撮影したものなどは、今見返すと憧憬が強くて全く別のコンセプトのちょっと悲しい映像作品にみえます。他に映像作品が動画サイトで共有されることの不安や可能性をモチーフにした作品もありますが、コロナ禍で已むを得ずwebでしか発表できない事態を経験すると全く違った意味合いの作品になります。
予期していないことですが、このような変化を敏感に捉え、上手に受け入れていかなければと思います。

 

ヘッダー画像:《sort bmp – Arnolfini_Portlait》2019年