JINI
私は物心ついたころからずっと絵を描いていて、幼稚園のころには絵本をつくっていたみたいです。そのまま、地元の京都にある美大に進学しました。そこで初めて油絵を制作して。
取手に来たのは、先端芸術表現科があったから。コロナ禍で学校に行けなくなって、家で制作するのは狭いなと思っていたとき、このシェアアトリエを知りました。今は大学とこことで使い分けながら、制作をしている感じです。
大学のころから、人の肉体に興味があって。きっかけはセシリー・ブラウンという画家の作品を観たことです。セクシャルな場面を、女性の視点から描いている画家さんで。私もこういう表現がしたいって思ったのが大きかったかも知れません。
肉体を描こうとするので、ピンクや赤が多くなりがちで。かわいい色って言われたりもするんですけど、私にとっては肉の色というイメージで使っています。
描くときに、どんな身体感覚を覚えているかっていうのを一番重要視しています。絵の具って半分液体、半分個体みたいな質感じゃないですか。それを筆にとって、紙などの支持体の抵抗感があって。それをどこまで滑らかにするか、どういうストロークで描くか。絵具と私の身体との間に発生している感触を感じているんです。
壁にかけている大きな絵は、髪の毛をいじっている人がモチーフです。筆だと小さすぎるから、手で描いていきました。この絵は層を意識したというか。違う質感や色を意識しながらのせていった感じです。
2020年に、小学校でワークショップをさせてもらう機会があったんです。私がやっているように、触感で描くことを体験してもらいました。緊張したけど、すごく楽しかったですね。
ちょっと絵から離れようと思っているというか。絵画が自分にとって一番表現しやすいメディアだっていうことはわかっているんですけど、ちょっと1人で絵を描くことに限界を感じていて。このまま続けていても同じような作品しかできないので、ステップアップするために、別のことをしたほうがいいと思ったんです。
将来はまだ迷っているところもあるけれど、絵はずっと描き続けると思います。
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JINI
2020年より東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻へ進学。「触覚的に描く」という身振りを自身のパフォーマンスと捉え研究制作を行う。主な展覧会に、周縁化されてきた女性の知恵をテーマにしたグループ展『Comfortable』(Roonee247 fine arts、2021年)。