ART LIVES TORIDE ここで芸術が生まれる。

kzfilm.studio 中井 一之

ムービーカムやミラーレスカメラでのスタンダードな撮影を中心に、ジンバルやドローンも使いながら、ミニマムな制作スタイルで映像をつくっています。企業紹介のVP(ビデオパッケージ)をつくったり、自治体からの依頼で風景を空撮したり、ジャンルはいろいろ。ウェブサイトに掲載したり、展示会で使う映像などを制作することが多いです。

20代のころは音楽をやっていました。人前で演奏するというよりも、鳥の音を集めたり、シンセサイザーやサンプラーを使ったりして音楽をつくっていたんです。以前、駅前ボックスヒルに楽器屋さんがありましたよね。そこに入り浸って、集まった人とCDをつくって配ってみたりして。音フェチみたいなところがありまして、大学では工学部で音声認識について勉強しました。

映像は、自分でつくる趣味みたいなところから始まりました。当時、縁のあった制作会社の社長に映像制作の技術や考え方を直接教えていただきました。それが現在の私の師匠であり、私のルーツです。そしていつの間にか、多くのクライアント様から映像制作を直接ご依頼いただけるようになりました。

今は企画から構成、撮影、編集まで、一通りのことは自分でやります。どういう映像が求められているのか、どう撮影するか、どこをポイントに編集していくのか。どの行程も地道で大変なんですが、なんでしょうね、全部楽しいんです。

個人的には自然が好きなこともあって、出かけた先々で風景の撮影をしています。単にきれいだねっていうことではなくて、なぜそういう地形になっているのか、神社仏閣がなぜそこにあるのか、ルーツを探っていく。最近は職人の仕事や、その地域にしかないような仕事をクローズアップして撮っていけないかと考えているところです。

今後なくなってしまうかもしれないもの、途絶えてしまう可能性があるものを映像で残したいんです。今ここにあるもの、地域文化や伝承などを50年後、100年後の後世の人も知ることができるよう、音と動きを残していく。記録することは、映像の大切な役割のひとつだと思っています。

記録という意味でも、伝える映像をつくるという意味でも、「わかりやすくする」というのは大切にしています。とはいえ、どうしたらわかりやすい映像になるのかは、いつも悩みながら、試行錯誤です。テロップひとつにしても文字数を少なくしてみたり、映像の順番を差し替えて考えてみたり。自分なりに最高傑作ができたと思っても、翌日見返して、やっぱり違うかなって思うこともあったりして。その時々で、精一杯やってみるしかないなって感じています。

なんでも自分でやってみる、試してみるっていうのが好きなんですよ。音楽も、映像も。この家のウッドデッキも自分でつくってみました。買ったり人に任せたりしたほうが早いんですが、つくることに一生懸命になると、そのノウハウが吸収できるじゃないですか。まったく関係ないことにも興味を持って観察したり、自分で手を動かしてみると、仕組みがわかる。そうして得た知識や経験って、直接とは言わずとも、後々映像制作に活きてきたりするんです。

生まれは滋賀県ですが、取手には小学3年生のころから住んでいます。茨城県、大好きなんです。やっぱり自然がいいですよね。空は広いし、夕日がきれいで、四季が感じられる。ずっとここに住み続けるだろうから、地域での関わりは、もっと広げていきたいですね。