白山窯陶芸教室
丸山 敏郎
私はもともとね、30年近く英語の先生をやってたんですよ。食べるために先生をやりながら、油絵とか陶芸を続けてきました。本格的に絵を描きはじめたときには、モディリアーニっていう画家に憧れてね。それで、美術の世界に行きたいと思ったんだよね。
陶芸家で尊敬するのは魯山人。彼は職人にろくろを回させて、それをぐちゃっと歪めたりするんだよ。下手なんだけど、それがすごい魅力的なの。完璧なものをつくるのもすばらしいと思うけど、私はあんまり感動しない。私も好き勝手にやってるからね。
私はなんとか焼きとか、そういう流派に属さないから、そのときの気分でね、つくりたいものをつくるわけ。個人的にはアンモナイトが好きなテーマだね。国立博物館でアンモナイトそのものを見てショックを受けて、それからずっとモチーフにして。陶芸を始めた40年前くらいからずっとつくってるんだけど、造形的におもしろいんだよね。あとは仏像をつくったり、最近は流木を造形することがブームかな。
私の場合はひとつのものを徹底的に追求するようなことはできない。飽きちゃうから。だから極めない。私の場合は師匠がいないから、陶芸の本を買って1人で研究して。だから教室の教え方も独特だと思う。
私が発明したいちょう灰っていうのがあるんだけど。本には出てないんだよ。私のオリジナル。台風でいちょうの枝が折れて、屋根を壊しちゃったんだよね。それで切って、燃やして。この灰は使えるかなと思って。普通は灰を水に溶かしてふるいにかけて、何度もアク抜きっていうのをやるんだよね。私の場合にはアクの入った灰をかけてみた。
なにがおこったかっていうと、普通は均一にかかるところが、油が弾いて緑色の釉薬が散り散りになって。これはけっこう人気があってね。最近は足腰が弱くなってつくれないから、木を地方に送って灰にしてもらってるんだけどね。
陶芸のおもしろさっていうのはね、生活に使えるお茶碗みたいなものから、空想の世界のものまでつくることができること。生活から宗教、宇宙にいたるまで、陶芸の世界っていうのは無限なわけ。私は自由陶芸ということで、楽しんでやってます。上手いって言われるより、おもしろいって言われるのが最高の褒め言葉なの。すごく立派なものでも、おもしろくないと。意外性があって、これもありなんだってのがいいよね。
教室に来る人たちから刺激をもらうこともたくさんありますよ。ちょっと前に教室に入った人がね、白菜を抱えてくるんだよ。これを作品にしたいんですって。おもしろいでしょう。半分にして、私も一緒につくってね。おかげで、私も新しいものがつくれて楽しいよね。
教室には作品展に出し続けている人もいれば、焼き物なんてどうでもいい人も来る。おばちゃん4人組がいてさ、集まってしゃべりまくって、お互いにつくったものを褒め合ってさ。ものづくりを通して、そういう人の交流があるっていうのもいいよね。
毎年ここにお友達を招いて、作品展をやっていて。作品を見てもらうこともあるけど、中庭でパーティーするのが主たる目的なの。焼いたピザをみんなで食べてね。うちの息子はミュージシャンで歌えるし、教え子でギターのうまい人がいてさ。私は詩を書いて、歌ってもらったりするの。陶芸もそうだけど、完璧にはいかないんですよ。いろんなことをやるから、常に未完成。そのほうが楽しいじゃない。つくることは、ずっと続いているからね。
白山窯陶芸教室
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丸山 敏郎
1940年 東京都荒川区日暮里出身。ふたご座
1964年 早稲田大学教育学部英文科卒業、千葉県立高校の英語科教諭となる
1985年 陶芸開始
1996年 ニューヨーク美術大学 SCHOOL OF VISUAL ARTS 留学
1998年 ギャリーハウス、陶芸教室、白山窯を開く